帰宅途中のバスの中


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自分はじっとしているのに、座っているだけで移動することができる乗り物のことがとても好きだなと、帰宅中のバスの中で思った。同じように退勤して家に向かう人々の服装を見て季節の移ろいを目撃する。

今年は冬の間に何度か春めいた気候が続く日があったが先週から正式に春になったと思う。春が嫌いな理由は無数にあるけれど、空気が澄んでないところと、パステルカラーに囲まれ黒を身に纏うことに負い目を感じるころが本当に嫌い。5月の訪れを待ち望んでいる。大好きな初夏。緑色の葉から溢れる光、涼しい微風。

 

今の街へ戻ってきてから3ヶ月と数週間が経った。その間に引っ越しを2回して、転職を控え、鬱が治って、恋人ができた。

3か月で自分の人生がすっかり変わることを実感して慄いている。自分の現在地と目的地がわからないまま移動する毎日が恐ろしい。

夏と秋が好きなのに季節が変わりゆくことに気落ちしている。このままの生ぬるい幸せがいつまでも継続して大きな選択をせずに生きたいと願いながら、心のどこかで劇的さを求めていて自分の将来がその方向へ向かっていくことを知っている。